エレンディラ
長い長い小説を読みたくて、トルストイとかドストエフスキーが書いたような名作を何一つ読んでない(ロシア文学の地面に根っこを張ったようなドッシリしたのがより良いという気分だった)ことに気付いたのは昨年のことで、有名な長編小説を読もうと思っていたのだけど、そのどれも選ばずに日本が世界に誇る名作といわれ(…た割にあまり有名ではない)大西巨人の神聖喜劇が長らくの絶版から改めて文庫で出たと聞きつけ、それをずっと読んでいる。二巻までようやく読み終わって今三巻をよんでいるのだけど、確かに面白い。長編のオモシロさは遠くのセンテンスを今読んでいるところに呼び寄せ幾重にも重なりながらも脱線していくような構造にもあるのだなあ、などと思いつつ、記憶がナカナカに曖昧なので長編を読むということは、記憶もずっとそのままそのセンテンスに繋げていかなければならなくて、一気に理解しながら読むのがいいのはわかっているんだけど、ヒマなときに読むということになっているので正直わけがわからないところもあったりする。高校生のときに指輪物語を読んだときもそんな調子で、結局挫折することになったのを思い出した。
読書は音読するといいらしい。口から出てまた耳に入ることによって、自分の中に取り込むことができるというころみたいで、自分の中にないと感じたものは本でもインターネットでも、音読して耳から取り込むことできっと自分のものにできるはず、とか思っているのに、最近、全然音読をしていないことに気付く。
そして神聖喜劇の二巻を読み終えたとき、息抜きにと
エレンディラ G・ガルシア・マルケス
を読んだ。
G・ガルシア・マルケスの小説は面白いよ、とナカジマ君が教えてくれていたので気になっていたのだけど、本屋に行くと忘れる、ということを何度も繰り返し、本当は長編の「百年の孤独」が読みたいのだけど、入り口としても妥当な短編集にしたのだった。
そしたらこの短編集に納められた不思議な話がとても美しく面白かった。
海に面したしなびた村でボロボロに年老いた醜い天使が庭にうずくまって、ニワトリと一緒に小屋の入れられ見世物にされ、天使を見るために人が押し寄せ村が繁栄していく様を淡々と綴った「大きな翼のあるひどく年を取った男」だったり「無垢なエレンディラと無常な祖母の信じがたい悲惨の物語」の容赦のない出来事と最後の読後感なんかが印象に残りました、文章の書き方が独特というか、読みながら先を予想することが出来ないというか…訳がとてもタイヘンだったんだろうけど、とても豊かでいい読み物だったなーと思って余韻に浸っています。
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しかし気力が充実しない…昼に買い物をしようと思って新宿駅に向かったのだけど、本当に買いたいものをなんだか忘れてしまっていて、別に何時でもいい買い物をしてきてしまうのだった(本当に欲しかったのは太極拳の本です、これはメモ)
土曜日はオオヌキさんのお誘いで会食。またコヤスさんのマジックを見させてもらい、楽しかった。
日曜日は母を送りに行かなければならなくて実家に帰った。実家に一人でいると静かでなんだか結構さみしくなるので、僕はニートにすらなれない、とか思うのだった。母はここに毎日いるんだな、とも思う、これは貴重な経験だった。
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Comments
マルケス薦めたのは多分ぼくじゃないよ(だって一冊も読んでないもん!)。
「百年の孤独」は買ったはいいけど肌に合わず、先日ブックオフで売り払っちゃった。言ってくれればきみにあげたのになあ。ぼくの方こそ短編集から読めば良かったと後悔してます。今度『エレンディラ』試してみるよ。
ぼくがラテンアメリカの小説で面白いと感じたのはエンリケ・アンデルソン・インベルって人の『魔法の書』。きみのエレンディラの読後感に近いと思うのでこっちをお薦めします。ただし短編集だけど。
Posted by: よういち | 05/26/2005 12:59
あれー。
じゃあ中島君が僕に薦めた小説家は一体誰だったんだろうか…サミュエル・ベケットだったかも?あ、そうだ、きっと間違えて覚えていたっぽい。どこでどう間違えたのかわかんないけど。どこも間違えようがない様に見えるけど、僕はどうしちゃったんだろう…でも面白かったから万事OKなんです。
エンリケ・アンデルソン・インベル「魔法の書」は覚えておくよ。ラテンアメリカの小説ってチョット変わっているのかね、あとがきに書いてあったんだけど、たとえば欧米が日本とかに対して感じるようなエキゾチックな感覚を僕はラテンアメリカの小説にも見て取れるように思うのだった。
Posted by: エンドウジ | 05/27/2005 00:54
去年ぼくの本棚にはマルケスとべケットが並べてあったから、それを見たきみの記憶が複合したのかも。個人的にべケットほど面白い作家はいないと思っているのでいろんな人にプッシュするけど、高橋氏なんかは読み進めるのに参って頭を抱えていたし、矢鱈と薦めるべきものじゃないのかもしれない…。
あと南米の作家といえば、ボルへスという人も気になっているのです。
Posted by: よういち | 05/27/2005 01:22
なるほど。じゃあ覚えて置くべきほうの、隣を覚えておくべきとして覚えていたんだなあ、なんて書くと複雑そうだけど、結局、覚え間違いだ、僕に何かを覚えさせようとしたら、その 隣を覚える という習性を利用してもらえるとすごく助かる…はず、、、いやそんなことない。
次はベケットにチャレンジしてみようかなあ、と思った。神聖喜劇の合間に短編とかを読んでみることにするよ。
南米は気になるねえ。僕はマルケスもそうなんだけど、カルペンティエルが気になっているよ、でもカフカとかピンチョンとかも読みたいんよ(ラテンアメリカじゃないけどね)
Posted by: エンドウジ | 05/27/2005 08:46